ダブルっち博物館

小6~高3まで両親の近距離別居型生活に巻き込まれたダブルっち君(1998年4月29日生まれ)も、晴れておかげさまで、フリーダム生活を満喫中です!f^_^;)笑

薬害エイズで長男(23)を亡くした母親の話

最近、いいTV・ラジオ番組がないと思っておられる方に、読んで、一緒に23の春にタイムスリップして頂いて、何か一つ持ち帰って頂けたら幸いです👦👧


某「リバティおおさか」閉館一日前の、今年5月30日、「証言の部屋」ブースにて、「エイズ資料館」(奈良県生駒市)の理事長、稲葉美代子さんの大変深いお話を視聴することが出来ました。


himekichiオジサンによる拙い要約筆記ではありますが、是非ともご鑑賞ください😅






【『我が子から学んだこと』稲葉美代子さん】




小学校の時に長男は血友病であると知らされました。


当時は、血が止まりにくい病気で


ニコライ2世の皇子が血友病だったくらいの認識でした。






3歳の時に、たん瘤が引かなかったことがありました。


高校では、柔道をやったり、活発にスポーツをやっていました。


自転車で、琵琶湖一周もしていました。





血友病友の会には入ってません。


非加熱製剤を打たれたのは、小学校低学年の時でした。


「治療がこれから変わります」と、電話を頂きました。






感染しているとは、高校になって聞きました。


ヘルペスが出てきたり、元々、細身だったのが


ガリガリになってきたりしていました。








職場から、駆け付けたら


長男は、病院に隔離されていて


その外で、聞かされました。







HIV/エイズの問題は、周りでは出ていましたね。


一方で、奈良医大などは


「そういうウイルスは殆どない。安心して下さい」と、言っていた。







長男を亡くしたことは、周囲には、


「薬害エイズで亡くなったのではなく、普通の感染症で亡くなった」


と言いたかった。というか、隠しました。





要は、
「親より後に死んでほしかった」
ということですね。







個室に隔離されて、食べ物も皆さんと一緒じゃなく


親としては、「普通じゃない」と


認識せざるを得ない状況になりました。







夫が、


子どもに伝えました。


結構、冷静に受け止めてくれました。







インターネットや図書館で、色々調べていたので


そうじゃないかなと、ある程度、


感じていたようでした。









23年の人生は、短いようですが


生を持って、万物の霊長である「人間」に生まれたこと自体が、


奇跡じゃないですか?




と、私は思うんですね。


病気があろうと。


だからこそ、本人には苦労させてきたけれど…。






23年の生涯を、


燃焼させてくれたのだと思わないと…。


卑下して生きたくない。






前向いて生きていきたい。


やっぱり私、


息子は、後悔はしていないと思います。











長男は、


いろんな所が見たかったのだろうなあと思い


そうさせてきました。





原告団に入ることは、


「そんなんまでしなくてもいいだろう」が


「僕も入りたい。訴えたい」と、言うようになった。





正義感じゃないんですよ。


やっぱ、おかしいことはおかしいと


説明する責任はあるだろうと。







私らは、真相究明したかったので


納得して、


裁判を終わらせたかったのに…。





夫も息子も、


なんとなくしっくりいかないなあと、


言っていました。







企業は、営利目的なんです。


行政からの天下りの人を取り入れて


計らい、癒着、色んなしがらみの中で





国自体が


人を守るんじゃなくて


企業を守る体質なんかなぁ…。





トップの考え方一つなんでしょうけどね。


個人の思いは、抹殺されていきます。


一個人としては、弱いもんやなあと感じます。





これ、私個人の意見です。










「エイズ資料館」は、


早くしないと


資料がなくなっていくだろうなと





たった3人で、立ち上げました。


残すしんどさを


大事にしたいと思いました。






薬害エイズの家族は、


故人を見送る時に、


「一緒に焼いてしまえ…」






となることが多くて


資料があんまり


残っていないんです。






10年毎に、大きな薬害が起ってますよね。


次、いろいろ病気が起って、その時に、


「物」として、伝えることができたらいいなと思います。







維持管理、継続は大変です。


個人の思いでやっているので、公的負担はありません。


個人の負担は、しんどいなあと感じています。






でも、10年おきに起きるなら


みんなに


薬害の悲惨さを知って欲しい…。















息子は将来、


世界に羽ばたきたいと思っていました。


その足掛かりとして、旅行会社に就職したいと。






それを、みんなに、過去のものとして済まされるのは


私としては


いたたまれない気持ちになりました。






もしかしたら


あなたも、薬害にあうかもしれないから


みんなにも、社会のことを考えて欲しいしなぁ。









悲惨さを、一人一人に訴えてきたら、メモリアルキルトが出来ました。


一つ一つが、物凄い苦労でしたが


私も、学ぶことが多かったです。






小1~おばあさんまで


多くの人の思いも


この、キルトのビーズやスパンコールの中に、飲み込んでいるんですね。












もっと苦しい思いをして亡くなった人もいるし


一人のやることは小さいかもしれないけれど


言い続けないと





ライフワークにしていかないと


私は何をしてきたのかになりますし


それが、「薬害エイズ」だと学びました。










私は、学校務めで、


箱の中に居ればよかったんです。


私自身が、社会に出てどうこうはなかった。







きっかけが、


「薬害エイズ」でした。


息子に感謝しないといけないな。









井の中の蛙に終わるんじゃなくて


色んな社会問題に


目を向けるようになりました。







その後、エイズは、


障害者問題であるという認識が広がって


定年後の私のライフワークは、障害者問題になった(笑)







NPO法人立ち上げの頃は、


携帯で


「被害者がいる!」「伝えなければ!」「あなたは代表なんで!」






と、いう声に追いかけられる夢を


何度も、見ました。


まだ、嫌々やっていました。







今は、凄く意義を感じています。


来館者数は、今の状態が、


一番普通だと感じています。





昔、多かったのは、一過性のものでした。


今は殆ど人が来なくなり


小学校の総合学習などで





児童さんたちが沢山来ています。


凄く嬉しいことで


そのお子さんたちに伝えられる喜びを感じています。









歴史は繰り返すという意味、長い目で見る事の大事さを、


学生を連れて来られる教育者の方々に、お話できることも


いいんじゃないかなと思います。






障害者が、


仕事が出来なくて、


お金を貰えて、





働かずに、


フラフラしている姿を


目にする…。





人間って、そうじゃないですよね。


やっぱ、生きがいがあって、


生きている。







1年半かかって


「障害者の場」を作る事が出来ました。


やらなければならないと、みんなに協力を仰いで…。






それこそ
力を合わせたら
何かが出来るんよ。




コツコツ

地道にやっていくことが
長続きの秘訣なんよ。





生きるとは、何だろうな。


生きたくても、生きれない人が、たくさんいる中で


私のこれからの生き様は、どういうことになるんだろうな。





社会問題が、色々ある中で


関わりながら


生き抜いていきたいです。






生きるとは、大変なことなんだ。


そのことを考えて


今後とも続けていきたいと思います。










<完>










※補足


【薬害エイズとは】


 血友病の治療方法として、かっては、出血がひどい場
合に病院に行って、凝固因子を含む全血の輸血を受ける
という方法がとられてきました。その後、治療方法が進
歩して、凝固因子のみを濃縮した高濃度非加熱血液製剤
が使用されるようになりました。これは、全血輸血など
と違って家庭内で自己注射により投与することが可能で
あったため、出血の際、早期に投与できたり、予防投与
することにより出血を防ぐなど、血友病患者の行動範囲
を広範に広げるものでした。しかし、この、濃縮製剤は
安全性を充分に確保せずに集められたアメリカの売血を
原料として輸入されたものであったために、原料に HIV
が混入していました。そのため、安全な薬として、国(厚
生省)が認可し、製薬会社が販売していた高濃縮非加熱
血液製剤を使用したことにより、血友病患者の約四割に
あたる 1500 人弱の方々が HIV に感染してしまいました。
これが、薬害エイズです (「エイズ資料館」のHPより)




貴重なお時間を頂き、ありがとうございました🙇




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